インターネットモバイル、デジタルバンキングの利用増加とそれに伴うオフライン銀行支店への訪問減少は、引き続き2017年にもタイの銀行システムに変革を引き起こすであろう。11月30日時点で、タイの11の上場商業銀行が運営する支店店舗数は、バンクオブタイランドのデータによると、2015年は6,758件から6,697件に減少、2014年では6,732件あったがすでに下降ゾーンに突入している。
サイアム・コマーシャル・バンク(SCB)、カシコーン・バンク、タナチャルト・バンク(TBank)、CIMBタイ・バンク(CIMBT)は、支店数減少をすでに示唆している。第3四半期時点で、モバイルバンキングユーザー数が1915万人に達し、2015年の1392万人から大幅な増加で、2014年の623万人に比べ300%増加している。第3四半期のモバイルバンキング取引件数は3億3500万件。SCBの第1執行副社長であるPhanporn Kongyingyongは、「ブランチ・バンキングは死んでいないとしているが、支店であっても一部の取引はやはりインターネットシステムや機械によって処理されるべきである」と信じている。したがって、デジタル時代のニーズに対応するためには、ATM(現金自動預払機)や現金預金口座(CDM)との協調が必須なのだ。
また、TBankの最高財務責任者(CFO)Anuwat Luengtaweekulは、支店バンキングもまた電子的取引の場になり、ATMの数は顧客に対応する需要に対して十分な数でなければならないことにも同意した。TBankは、ある意味銀行の職員を煩雑な仕事に追いやっていたトランザクションを、電子的に行われるようになるため、もっと高度な銀行間取引のスキームを訓練する時間が割ける利点を協調した。
CIMBTのAdisorn Sermchaiwong上席エグゼクティブバイスプレジデントも同様の意見を述べる。
「より多くの銀行業務がデジタル化されるに比例して、支店数を縮小しなければならない。」
CIMBTの顧客はトランザクション型のサービスではなく、財務アドバイザリーのコンサルタント業務にシフトさせている。KBankもモバイルバンキング取引を増やしていますが、支店での取引件数の減少は見られません。カシコンリサーチセンター(Kasikorn Research Centre)の上級研究員であるSaithip Konggiatnarongは、「金融取引のインターネット技術と全国的な電子決済システムが、トランザクションバンキングに新しい景観を作り出した」と述べた。
モバイルバンキングを通じた取引銀行からの手数料収入は、政府のキャッシュレス社会の目標の影響を受けている。この傾向から銀行にとっては、現金管理のコストが削減される、とも言える。仮にプロンプトペイ制度が完全に導入されれば、銀行はモバイルバンクの手数料収入を失うことにもなるが、銀行は逆にこれらの取引からトランザクションデータを分析して、需要、要件に応えるサービスを的確に提供することができる。
タイにある銀行は、顧客とのオフライン接続とオンライン接続にバーチャル接続を介した同品質の一貫性を求めている。タイの銀行は、「オムニチャネル」(多数のチャネル)から「オプティチャネル」(優先チャネル)戦略に進化していき、重要かつ高度な取引をシームレスで調整された方法で、顧客が好む接続方法、相互作用をどのように提供するか、サービスの質を柔軟にする必要がある。プライスウォーターハウスクーパーズ(Pricewaterhouse Coopers)によると、タイでは、タイランド4.0に代表される第4世代の電気通信技術が、インターネットにアクセスする人々に銀行取引のオンライン化を急速に早めているという。物理的な銀行支店で取引を行うコストについてもデータを分析し、適切な料金を請求できるデジタルバンキングに移行させるべきだと彼は提案した。
今後、タイの各銀行はデジタルバンキングのセキュリティに対する顧客の懸念に対処することが課題となったわけだ。
出展: The Nation