タイの軍事政権は17日、国王の要請を受けて修正した新憲法案を王室に提出した。
首相府関係者が明らかにした。内容は明らかになっていないが、国王の公務を代行する摂政の任命に関する規定などを修正したとみられる。国王が90日以内に署名すれば新憲法が発布される。署名しなければ憲法案は廃案となり、民政復帰が一段と遠のくことになる。軍政が指名した特別委員会が17日までに修正を終えた。当初、プラユット暫定首相は修正に数カ月かかるとしていたが、約1カ月で国王への再提出にこぎ着けた。今年末に予定していた総選挙への影響を最小限に食い止めるため、プロセスを大幅に短縮した。国王の署名の猶予期間は90日。新憲法が発布されれば、政府は総選挙関連法案の策定に入る。それでも昨年10月に死去したプミポン前国王の国葬や新国王の戴冠式などを年末に控え、総選挙は来年にずれ込む公算が大きい。新憲法案は昨年8月の国民投票で可決され、国王の承認を受けるため一度王室に提出されていた。だが、12月に即位したワチラロンコン新国王が国王の権限に関する規定について修正を要請。憲法案を差し戻すという異例の事態となった。
出典:日本経済新聞