Home / タイ / プラユット政権、ハイテク産業化「タイランド4.0」に向け、外資誘致
プラユット政権、ハイテク産業化「タイランド4.0」に向け、外資誘致
The Nation|2月15日に開催されたセミナー「Thailand 4.0 Means Opportunity Thailand」で演説するプラユット首相

プラユット政権、ハイテク産業化「タイランド4.0」に向け、外資誘致

多くの日本企業が進出するタイが、新たな成長に向け外資誘致に乗り出した。航空機など先端産業に投資する企業の法人税免除期間を延長するほか、高速鉄道など大型インフラ開発を計画。人件費上昇などで既存の製造業が伸び悩む「中進国のワナ」から脱却するため、産業の高度化を目指している。しかし日本企業は物価高の懸念などから追加投資には及び腰で、代わって欧米や中国企業が存在感を増しつつある。タイ政府は農業、軽工業、重工業(自動車・電機産業)に次ぐ先端産業を第4の産業の柱とする目標を「タイ4.0」と呼んでいる。「中進国のワナから脱するためタイ4.0を実現する。それには皆さんの力が必要だ」。タイ政府は15日、バンコク市内で外資呼び込みのセミナーを開催し、プラユット暫定首相(陸軍大将)が外国企業駐在員ら約3000人を前に呼びかけた。日本の自動車産業誘致を機に東南アジア有数の工業国へと発展を遂げたタイだが、近年は物価高などで輸出競争力が頭打ちとなっている。日本企業がベトナム、ミャンマーなど物価の安い近隣国に製造拠点を移しつつあることもあり、2015年の実質経済成長率は2.8%となり、タイ政府が4~6%とする潜在成長率を3年連続で下回った。こうした状況を打開するため、プラユット政権が打ち出したのがタイ4.0だ。具体的には次世代自動車や航空機、医療機器など政府が「最先端」と認める事業分野に投資する企業に対し、従来より7年長い最大15年間の法人税免除を約束。バンコク東部の工業地帯3県を東部経済回廊(EEC)と呼ぶ経済特区とし、更なる優遇税制や規制緩和で先端産業の集積を目指す。EEC-バンコク間に今後5年間で官民合わせ1.5兆バーツ(約5兆円)を投じ、高速鉄道新設などインフラ開発も進める。現地の工業団地開発大手アマタがEEC内に研究開発拠点用の団地造成に乗り出すなど、地元企業もタイ4.0を前提とした投資を活発化させている。EECとなる工業地帯3県にはトヨタ自動車やダイキン工業など多くの日本企業が進出済みで、優遇税制やインフラ整備は日本にとっても追い風になる。しかし多くの日本企業はタイ政財界の熱気とは裏腹に様子見の姿勢を崩していない。日本の重機メーカー幹部はタイでは技術者不足が深刻だとし、「先端分野を展開するのは時期尚早」との見方を示す。また、マツダが米フォード・モーターと合弁で運営する車両生産会社オートアライアンスのサティツラユット副社長は「人件費上昇は親会社も不安に思っている」と指摘。フォードのベトナム工場などとグループ内で競争している関係上、タイ4.0で予想される更なる物価高への警戒感をにじませた。こうした日系企業の及び腰を見透かすようにタイ政府はセミナー開催に合わせ、EEC内で先行的に先端産業に投資した米企業の拠点などを各国メディアに公開。日系企業以外にも誘致候補が多いことをアピールした。一方、タイ投資委員会のヒランヤー長官は毎日新聞などの取材に対し「先端技術を持つ日本はこれからもタイへの投資トップ国であり続けるだろう」と述べ、日本への期待を表明した。

タイは1960年代ごろから自動車など日本企業を積極的に誘致し、輸出主導型経済を確立した。2015年の国民1人当たり国内総生産(GDP)は5742ドル(約65万円)。東南アジアの中でもシンガポール、ブルネイ、マレーシアに次ぐ豊かな国へと発展した。一方で経済成長に伴う物価高が進出企業の収益を圧迫し、新規投資先を物価の低いタイ近隣国とする日本企業も増加。代わりに欧米や中国企業が台頭している。タイへの国別投資残高(15年末)シェアで日本は34.8%と首位だが、16年のタイからの輸出先はトップが米国、2位は中国で日本は3位にとどまった。訪タイ観光客数も中国は日本の数倍に上り、タイにおける日本の優位性は薄れている。

出典:毎日新聞

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です