タイの深南部ナラーティワート県のチャネ郡で4月27日の午後、反政府武装勢力による軍を狙った襲撃事件が起きた。武装グループはタイ王国軍の兵士らが基地に戻る途中を狙い、ピックアップトラックが現場を通過する際に予め仕掛けておいた爆弾を爆発させ、停止したところに銃撃を浴びせた。その後、兵士たちの武器を奪い、火をつけて逃走したという。銃撃を受けた兵士たちのうち、4人が現場で、2人が搬送先の病院で、死亡が確認された。タイの深南部では4月初め、ヤラー県のクロンピナン郡にある検問所が反政府武装勢力による襲撃を受け、銃撃や爆弾による攻撃で現場にいた警察官12人が負傷する事件も発生している。
タイ治安当局はタイ深南部で最も影響力のある反政府イスラム武装勢力 Barisan Revolusi Nasional(BRN)による犯行とみて、捜査を進めている。このタイ最大のマレー系イスラム反政府組織とタイ政府はこれまで2年間にわたって和平交渉を行ってきたが、現在まで合意には至っていない。今年2月下旬、マレーシアのクアラルンプールで開催された非公式の会合では両者間で「休戦」の約束が取り交わされたが、4月10日には、同反政府組織はタイ政府と2年間にわたって行われている非公式の和平交渉を今後、拒否するという声明を発表するなど、予断を許さない状況が続いている。タイからの分離独立を掲げて武装抗争を続けるタイ深南部のマレー系イスラム過激派によるテロ攻撃で、2004年以降、およそ7000人が命を落とした。今年に入ってからは、36人が死亡し、38人が負傷している。