タイの人権団体「iLaw」は9日、バンコクの軍事裁判所がタイ北部チェンマイ県の男性(34)に不敬罪で禁錮35年の判決を言い渡したことを明らかにした。ウィチャイという名前のみ明かされているこの男性は2015年10月、別の名前とプロフィール写真のFacebookアカウントを使用し、計10回にわたり王室関係の写真や動画、メッセージなどを投稿したことで2015年12月22日、チェンマイ県で逮捕された。名前を無断使用された友人が警察に通報したことが、逮捕のきっかけとなった。
タイ王室を侮辱したとして不敬罪に問われたこの男性は当初、無罪を主張し裁判で争う姿勢を示していたが、投獄されて1年半、裁判が一向に進展しなかったことで心を折られたのか、一転して罪を認め、有罪判決を受け入れた。バンコクの軍事裁判所は、投稿1件につき7年の禁錮70年を刑を言い渡した後、罪を認めたことを理由に量刑を半分に減らし、最終的には禁錮35年の判決を下した。不敬罪での禁錮刑は最長15年とされているが、今回のケースでは投稿1件につき、1つの罪に問われ刑期を加算された。2015年に禁錮30年の判決が下された判例を上回り、不敬罪での最長刑期となった。
軍事政権発足以降、不敬罪の取り締まりは強化され、これまでの起訴件数は100件を超えると言われている。